テキストサイズ

クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第6章 接触


連邦軍側の若い司令官ヨハネス・リアリティは落ち着いた様子で話しを始めた


「もともとブルガリアの連邦軍からドイツの本部へ増援依頼があって我々北欧を主軸とする旗艦ゾーナタ率いる3つのフェニックス級にてこちらの黒海西部を牽制しています

 3つのフェニックス級とブルガリア連邦軍、そこに貴方のグリメット軍が加わる、と?


 貴方の戦う動機はわかりましたが、かといっていま敵対するトランキュリティ陣営と手を結ぶというのはなかなか簡単なことではありません

 現場の兵士の士気にも関わります
 いくら貴方が“ゼントリックスとは言えグリメット軍とゼントリックス軍は別だ”とおっしゃられても、現場の兵士の彼らからすれば自分の親や友を失わせた敵と手を組む事はなかなか受け入れ難い

 ラーズ・ローズ君ならよくわかるのでは?」


突然組織の上官から話しを振られたラーズはえっ?と目を見開く


「……そうですね、とても頭が整理出来ないのは事実です
 一夜彼らと過ごしましたが彼らはとても気さくな連中で、自分は誰と戦っているのか、自分自身が困惑していましたが、今は彼の言葉はとても真実みがあると思えます
 それは彼の艦のクルーたちが皆、スティーブさんに賛同してこの子供たちを助けようと努力していることからも明白です」


ラーズはスティーブの目を見ながらゆっくりと語るとスティーブもコクリと頷いていた



ヨハネスはラーズの言葉を聞きながら、とうしたものかとため息をつく


「家族を重んじるスティーブさんには敬服いたします、特に目の前で父と娘の再会を見せつけられた立場としては共闘協力も考えたい、
 ですがお互い今まで敵同士だった立場上、簡単に共同戦線を張るのも厳しい、
 少しお時間いただけますか?」


「もちろん!もちろん!
 今日は最初の面談程度だと思っていますから即答なんて望んでおりませんよ!
 それに本日は娘の引き取りとラーズ君の機体の回収が主な目的ですからね!」


面談は終わり、スティーブとその娘はしばし食堂で休ませてもらうことになった


ラーズはヨハネス司令によびとめられ居残りを命じられたのだった




ストーリーメニュー

TOPTOPへ