クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第8章 カタストロフマシーン〈ストーム〉
「あ!」
ローズが声を出した
画面にはこのカタストロフマシーン「ストーム」に飛びかかってこようとする2機のモビルスーツの映像が映し出されていた
ギラ・ドライセン!!
2機は決死の覚悟で突撃してきた
バリアのエネルギーが追いつかなくなりつつあるポイントを狙ってきたのだ
「クレア、アンタは動かせないのかッ!?」
「ムリよ、私はパイロットじゃないもの、それにこの兵器はこの子でないと動かせないのよ」
ラーズは念のためにコックピットシートに座り、グリップをガシャンと動かしてみたが、何の反応も得られない
何らかの生体キイがあるのかもしれない
ラーズがかつて乗っていたジムⅢは認証コードの入力だけで良かったが、たしかにセキュリティの厳しいエリアなどでは網膜スキャンなども必要だ
「ちょっとどいて」
ローズはラーズを押しのけて今度は自分が座ってみる
するといくつかの画面がパパパ!と光りだした
「ローズ!?動かせるのかッ?」
ラーズはすげぇ、と感心したものの、当の本人は余裕が無さそうだ
「ど、どうやったらいいのッ!?モビルスーツやシュメッターリングとは全然違うんだけどッ!?」
グリップを引き戻すと、何かしらのゲージが上がっていく
機体がマックスの体勢に向かっているようだ
「なんだッ!?」
「わ、わからないッ!?」
ゲージはどんどん上がっていった
「おい、何かしないとマズそうだぜ?
まさか爆発したりしねぇだろーなぁ?」
ゲージが最高潮まで上昇しきったとき、
ふとグリップのトリガーの感触が軽くなった
なにかの制限が外れたようだ
そして画面には特別なキーワードの文字が並ぶ
「な、なに?? V……E……S……、
ヴェ、ヴェスバー???」
その瞬間、まばゆい光が放たれた!
「なんだっ!?メガ粒子砲ッ!?」
機体全体が衝撃で揺さぶられる!
凄まじいビーム出力!
これまでの出力を大幅に超えるエネルギーだった
そして
バルケシル空軍基地は消失した
すべてが一直線に蒸発してしまったのだ
2機のギラ・ドライセンごと!
それを遠くの丘から観察していたケイティとレヴァンは呆然とした表情で記録を続けていた