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メダイユ国物語

第2章 ラバーン王国のプリンセス

 ところが、ファニータとパウラの二人も、微かに震えながらではあるが首を縦に振った。

「だめよ、あなたたちは逃げて。わたしはひとりでも平気だから」

 侍女たちを気遣うマレーナは言う。こういう時に自分に仕えるグレンナたちを守ることこそ、高貴な身分に生まれた自分の役目なのだ――彼女は自身に言い聞かせた。

「いいえ、わたしたちには姫様をお守りする義務があります」

 グレンナが力強く言う。ファニータとパウラも頷きながら、真剣な顔を主に向けた。

「――ありがとう。では、四人で向かいましょう。その代わり無茶はしないでね?」

 根負けしたマレーナが折れた。だが、彼女は続けて、

「身の危険を感じたら、わたしに構わず速やかに逃げなさい。これはわたしからの、王女からの命令です」

 侍女たちに毅然とした態度を向けて付け足した。

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