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人造人間フランくん

第3章 嫉妬心、芽生える。

「宅配便だ、受け取らなきゃ」
白はいつものお爺ちゃん配達員だと思い、それでも一応の礼儀としてワイシャツを羽織り下4つほどのボタンを締めた。こうすれば一応、パンツ部分は隠れる。白はそのまま玄関に向かい、宅配便の扉を開けた。
「こんにちは、お届け物です」
(あっ、お爺ちゃんじゃないや)
失敗したと思いつつ、白は何でもないような表情で「ハンコ?」と聞いた。若い配達員はどぎまぎしつつ「サインでも」と言いながら、その目はチラチラと白の胸のきわどい部分を見つめている。これがあるから嫌なんだ、と、白はげんなりする。普段のお爺ちゃん配達員ならばこんな不躾な目は向けない。たまに「お嬢ちゃんご飯食べてるかい」だとか「うちの孫も同い年くらいでね」だとかと他愛もない話をしていくが、そんな無駄話も決して気分の悪いものではない。何故なら、老人の目は自分を大人として見ていない。子供として労わってくれるその様子が、白には心地良かったのだ。
だというのに、今日来たばかりの無遠慮な配達員の男は、白を性的に見た挙句にこんな質問をしてくるのだ。
「あの、俺最近、この辺りの配達をしてて。宜しければ、友達になりませんか?」
(友達だなんて。お前は私の肉体が目的だろうに)
自嘲の笑みを浮かべる白に、配達員は気づかない。今も頬を赤く上気させたまま、白の体にチロチロと舐めるような視線を向けている。白が何も言わずにドアを閉めようとすると、ふとドアに力が籠められる。閉じないドアを不思議に思って背後を振り返れば、そこにいたのはフランであった。
「Dr.シュガーと友達になりたいのですか、貴方は。それならばまずは、彼女の体を舐め回すような、その淫猥な瞳を抉り出してからにしてもらいたいものですな」
フランの明け透けな物言いに、配達員は蒼褪め、そうして「失礼しました」と慌てて白の前から立ち去った。階段から転げ落ちるような音がした気がしたが、フランはそんなことを気にも留めず荷物を抱き上げて扉を閉じた。
「フラン、あの」
「……Dr.シュガー。前にも仰いましたよね。そのようにはしたない格好をしていて、誰かに見られたらどうするのだと」
フランの瞳は怒りを帯びていた。彼は荷物を部屋に運ぶと、部屋に鍵をかけて白に言った。
「貴方の姿を他人に消費されるなど、許せない」

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