テキストサイズ

人造人間フランくん

第2章 動画配信、始めました。

フランの動画配信は、それからも好評を極めていた。知育菓子を作って食べてみる企画から始まり、今度は玩具を使って遊んでみる動画を配信した。フランの人間離れした動きで遊ばれる新型フリスビーや吸盤付きクロスボウは男性人気を集めたし、彼が真剣な表情で作るジグソーパズルや絵画系玩具は女性人気を集めた。動画サイトに登場したのが約5カ月前とは思えないほどに、すでにフランの人気は動画サイトのベストランキングを更新していた。次はどんな動画をやろうかと考えるフランの横で、彼の創造主はだらしない格好でアイスを食べていた。
「……Dr.シュガー。そのような格好でアイスを食べるのはおやめください。年頃の女性がはしたないですよ」
「良いじゃないか、フラン。最近は初夏を過ぎたばかりだというのに暑くてたまらないだろう。そういう時はこういう格好でアイスを貪り食らうのが一番美味しいんだ」
そんなことを言って、白はパンツとカップ付きタンクトップ姿でアイスを食べていた。青色のシャーベット系アイスは彼女のお気に入りで、先程からガリガリと床に氷を零しながら3本目に齧りついている。
「それに3本は食べ過ぎですよ。そんな格好でアイスを食べ過ぎて、お腹を壊してしまったらどうするつもりですか?」
「大丈夫だよ、お腹を壊した場合の胃腸薬は準備しているし、それに、私が具合を悪くしたところで誰も心配しない」
白の言葉へ、フランは眉間に皺を寄せる。貴方が具合を悪くすれば一番に心配をする私がいるというのに、そう口にしたところで、白に自分の気持ちが伝わらないことは分かっていた。それでも、フランは白の暴挙を止める為、キッチンに向かいマグカップを持ってきた。
「どうしたんだ、フラン?」
「ホットチョコレートを作りますから、アイスはそれで食べ納めにしてください」
「……お前がそこまで言うのなら、まぁ、仕方がないな」
マグカップに入ったチョコレートをホットミルクで溶かすフランを見つめながら、白はアイスの棒を捨てる。そうしてふと思いついたように彼女は言った。
「なぁ、フラン。次は料理動画も良いんじゃないか?」
「それは良いですね。仰せのままに、Dr.シュガー」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ