時給制ラヴァーズ
第7章 7.ヴァージンペーパー
「いや、あの……なんというか、ここまでしといて説得力ないと思うけど、俺あんまりそういうの興味なくて、彼女に手出さな過ぎて振られたことがあるくらいだった、んだよな」
「うわ……」
「そこで引くなよ」
襲ったとかではなく、手を出さないって理由で振られるってどういうことだ。
いやまあ、慶人が慶人である分、そこまでなにもしてこなかったのなら自分になにか問題があるのかと別れたくなる気持ちもわからないでもない。というか、わかる。恋人になにも求められないなんて嫌なはずだ。
「そりゃ一番初めは、偽物のデートと本物っぽい男同士のカップルと、なによりお前に煽られて理性がぶっ飛んだけど」
「煽ってないけど」
「十分煽られた。……でも、その後はお前を抱きたくて抱いてた。離れたくなかったから、色々なことを先延ばしにして曖昧にしていたことは謝る。ごめん。全部が俺の勘違いで、告白したことでお前があっさりとバイトを辞めて離れていくかと思ったら言えなかった」
「……俺、ちょっと色々鈍すぎた?」
「だいぶな」
俺としては慶人が自分の気持ちを隠すのがものすごく上手い、という方に一票入れたいんだけど、ここまで来るとさすがに俺の方にも色々と問題があると思う。
わざと深く考えないようにしていたとしても、あまりに鈍すぎた。慶人の気持ちにも、自分の気持ちにも。そして自分の行動がもたらす結果にも。
「うわ……」
「そこで引くなよ」
襲ったとかではなく、手を出さないって理由で振られるってどういうことだ。
いやまあ、慶人が慶人である分、そこまでなにもしてこなかったのなら自分になにか問題があるのかと別れたくなる気持ちもわからないでもない。というか、わかる。恋人になにも求められないなんて嫌なはずだ。
「そりゃ一番初めは、偽物のデートと本物っぽい男同士のカップルと、なによりお前に煽られて理性がぶっ飛んだけど」
「煽ってないけど」
「十分煽られた。……でも、その後はお前を抱きたくて抱いてた。離れたくなかったから、色々なことを先延ばしにして曖昧にしていたことは謝る。ごめん。全部が俺の勘違いで、告白したことでお前があっさりとバイトを辞めて離れていくかと思ったら言えなかった」
「……俺、ちょっと色々鈍すぎた?」
「だいぶな」
俺としては慶人が自分の気持ちを隠すのがものすごく上手い、という方に一票入れたいんだけど、ここまで来るとさすがに俺の方にも色々と問題があると思う。
わざと深く考えないようにしていたとしても、あまりに鈍すぎた。慶人の気持ちにも、自分の気持ちにも。そして自分の行動がもたらす結果にも。