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時給制ラヴァーズ

第7章 7.ヴァージンペーパー

「責任?」
「傷つけた分、ちゃんと付き合ってお前を幸せにする」
「ん……?」

 ものすごく生真面目な表情からは、冗談の色は見えない。
 だけどそれは果たして二択になっているんだろうか。付き合うのがダメなら付き合うって、実質一択では?

「……それって、なんにせよ付き合うってこと?」
「出来れば」
「出来なかったら?」
「それでも」

 俺の気持ちを聞く気があるようでありながら、どうやら、ノーの答えはないようだ。
 さすが中身もナチュラルイケメンな慶人くん。丁寧に強引だ。でも慶人にこんな言い方されたら、普通は誰だって傾くだろう。
 茶化しているわけではなく真剣だからこその言動だっていうのはわかるし、そもそも慶人からの告白を断る人自体がいないんじゃないかと思う。普通の女の子の話なら。
 ただ、俺は男で、始まり方もちゃんとしたものではなくて、なし崩しで何度も体を重ねちゃったし、それってやっぱり普通じゃなくて。

 ……慶人とちゃんと付き合う、か。
 デートしたり一緒に住んだりイチャイチャしたり、それ以上に色々したりは今の段階で充分してる。だって少なくとも今の関係は友達とは言えないはずだ。

「恋人の『ふり』と恋人って、なにが違うの?」
「気持ち」

 なにがどう違うのか、説明を求める俺に、慶人は一言で即座に答えてくれる。

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