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時給制ラヴァーズ

第2章 2.急ごしらえのコイビト

 なにより、慶人と同居してまだ間もないと言うのに、さっそく何度か慶人が親と電話しているところに遭遇したのが積極的に協力する原因だといえる。

 慶人の同級生が結婚したとか子供が出来たとか、自分の友達の娘さんを紹介したいとか、とにかくそんな話題を電話でひたすらされているらしい。
 確かにこんなことをしょっちゅうらやられたら、男の恋人を作るというとんでも案に頼りたくなるのもわかる気がする。
 全面的な好意で良かれと思ってやっていることとはいえ、本人である慶人の意見はスルーでこんなことを繰り返されたら、わざわざ俺を雇ってなんとかしようと思うのも仕方がないかもしれない。少なくとも追いつめられはする。

 そんな事情を体感してしまった俺としては、あまりお金を貰ってなんとかしようって気がなくなってしまったんだ。
 いやもちろん、ご両親と会う時は事が事だからバイトとして扱ってもらうし、必要とあらばお金は受け取るけど。
 ともかく今は気分転換も兼ねて楽しく買い物をしようじゃないか。

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