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時給制ラヴァーズ

第2章 2.急ごしらえのコイビト

 男が男の恋人のふり、なんて言葉だけ聞くと実際を知らない俺としてはどうしたものか困ってしまうけれど、ここまで来てしまうとほとんど演劇のノリだ。
 求められているのは誠実でラブラブなお付き合い中の、親御さんに認めてもらえる恋人。もしくは、無理に引き離したら面倒そうな二人に見えればそれで良し。
 それならば中途半端より思いきりやってしまった方がいい。
 あくまで主役は慶人だけど、この際目立つ脇役になろうじゃないか。時給も発生するならやる気も出るというもの。

 なにより慶人は今までの友達のタイプと全然違っていて、それが逆に面白いからこんな買い物も楽しく出来てしまう。
 普通に部屋をシェアするだけの相手だったら、こうはいかないだろう。
 そもそもこんな変なきっかけがなかったら出会わなかっただろう相手だからこそ、正反対で相性が良かったのかもしれない。

 ……そして、相性といえば、だ。

 カップルとしての買い物するなら、と考えて一つ思いついたものがあるんだけど、これはどうしたものか。
 でもリアリティを追求するなら、無視するわけにはいかない。むしろ、カップルという演出のためには一番必要かもしれない。

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