時給制ラヴァーズ
第3章 3.うそつきデートの行方
次の日、訪れたのはネットで検索して見つけた少し寂れた遊園地。
目的はアトラクションを楽しむためではなく、あくまでデート風の写真を撮るため。だからあまり大勢人がいるのは困るんだ。
今時男二人で遊んでいるのは珍しくないかもしれないけれど、さすがに遊園地でイチャイチャしていたら人目を引いてしまうかもしれないから。
そして読みどおり、やってきた遊園地にはほとんど人はおらず、安心して撮影に挑むことが出来た。
どうやら慶人はしっかりカメラが趣味だったようで、機嫌良さそうに俺の写真を撮り続けた。その姿が様になりすぎて、まるでプロのカメラマンのよう。
最初は撮られることに緊張していたけれど、あまりに慶人が撮り続けるから、いつの間にか慣れてあまり気にならなくなった。それこそ演劇のような、モデルのような気分。案外慶人は乗せるのが上手いのかもしれない。……いや、この場合は俺が乗せられるのが上手いだけかも。
ともかく、お返しに撮影をしている慶人をスマホのカメラで撮ることも忘れない。これはこれでイチャイチャしているように見えなくもないかも。
それでもやっぱり一人で撮られている気恥ずかしさはあったから、慶人も引っ張り込むことに決めて辺りを見回す。
「ねー、せっかくだからなんかアトラクションで写真撮ろうよ。二人っきりで周りから見えないようなやつ。……あ、あれは?」
そうやって俺が指差したのは定番のお化け屋敷。乗り物に乗って中を回るんじゃなく、自分の足で歩くタイプのやつだ。