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時給制ラヴァーズ

第3章 3.うそつきデートの行方

「慶人恐いの苦手?」
「いや別に。むしろパターン的には天の方が苦手じゃないといけないんじゃないか?」
「はは、抱きつくチャンスだもんねー」

 確かにデートのパターンでいくのなら、言い出した俺の方が恐がって慶人を頼らなきゃいけないのかもしれない。だけど、果たして俺にそんな可愛い真似出来るだろうか。
 まあ、やるだけやってみよう、なんて勢い込んでさっそくお化け屋敷に突入した。人目がないのをいいことに、カップルらしく手とか繋いでみたりして、わざとらしく裏声できゃーきゃー言ってたら面白くなっちゃって結局笑いながら出てきた。
 当然、撮影は出来ていない。

「あはは、普通に楽しんじゃった」
「まあ、あの中で写真は無理だろうな」
「そっか。そりゃそうだね。でも面白かったー。笑った笑った」
「お化け屋敷の感想が『笑った』はおかしいだろ」
「でも慶人もめちゃくちゃ笑ってたじゃん」
「俺はお前につられたんだよ」

 目的は達成出来ていないけど、まだ一つ目だし慶人も笑ってたから良しとしよう。そう気持ちを切り替え新たな獲物を探す。

「じゃあー……あれ! 遊園地と言ったらあれには乗らなきゃね!」

 ぐるりと辺りを見回してすぐに目に付いたのは、巨大なループするレールと時折聞こえる悲鳴の元。
 やっぱり遊園地と言ったらこれを無視してはいられない。

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