時給制ラヴァーズ
第3章 3.うそつきデートの行方
「………………………………」
「大丈夫?」
俺にとってはほんの数分、だけど慶人にとってはかなり長い体感時間だったんだと思う。
ジェットコースターを降りた慶人の顔色と足元が非常に危うかったから、手を引っ張って近くの休憩スペースに座らせた。素直に引っ張られている辺り、だいぶ堪えたのだろう。
「ごめんね、無理に乗せちゃって。大丈夫? 気持ち悪かったりしない?」
「…………へーき」
憂えたイケメンはやっぱりイケメンだったけど、この弱り方はさすがに気の毒だ。
隣に座って様子を見ていたけれど、こうやっていても仕方がない。周りを見回せば売店が目に入ったから、これだと立ち上がった。
「ちょっとここで休んでて。お詫びに飲み物でも買ってくるから」
そう言い置いて売店に走った。こういう時は冷たいものでも飲んでゆっくりするのが一番いいはず。
普段好んで飲んでいるのはコーヒーだけど、具合が悪かったら飲めないかもしれないからアイスコーヒーとウーロン茶にしておこう。どっちか本人に選んでもらえばいい。
そう思って両手にカップを持って急いで帰ってきたら、慶人が伏せていた顔を上げて俺を迎えた。