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時給制ラヴァーズ

第3章 3.うそつきデートの行方

 なにより良かったのは、迷子センターに辿り着く前にお母さんが見つかったこと。
 お母さんもそこへ向かっていたらしく、その前でばったり出会えたんだ。
 迷子だったはずの子が俺の頭の上で楽しそうに笑っているのを見て若干目を丸めていたけれど、それでもすみませんありがとうございますとお礼を言われて手を振って別れた。

「見つかって良かったね」

 あっという間の出来事だったけど、それでも一ついいことが出来て良かったと思う。
 それじゃあ改めてデートの続きをしましょうか、と慶人に向き直ろうとしたら、先に伸びてきた手に頭を撫でられた。なんだかとても嬉しそうな顔をしている。

「よく出来ました。せっかくだから、俺からたからくんに頑張ったご褒美あげよう。なにがいい?」
「やったー。じゃあねーソフトクリーム食べたい」

 頭を撫でられながら子供気分でおねだり。すると本当にソフトクリームをおごってくれて、俺は上機嫌でそれを手にする。いいことをしたらいいことが返ってきた。
 それってなんだかすごくいいことだ。

 そしてご褒美のソフトクリームを手にして、一つ思いついたことがある。
 それを実行するため、持ったソフトクリームを慶人の前に掲げ、片手でスマホを構えた。

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