テキストサイズ

時給制ラヴァーズ

第3章 3.うそつきデートの行方

「どこ?」
「鼻んとこ」

 指差された鼻先を触ると指にクリームがついた。どうやら今の写真を撮る時に近寄りすぎてついてしまったらしい。
 指先のクリームを舐め取ってからごしごしと手の甲で拭って、ついでに他のところも拭って大丈夫そうなのを確認しようと慶人を見たら、思わず噴き出してしまった。

「って、慶人もついてるよ」
「え、マジで?」

 同じように慶人のほっぺたにもクリームがついていた。頬にクリームをつけたままカメラを撮っている慶人って構図が面白くて、くすくす笑っている間に慶人が顔を拭う。だけど絶妙にその場所をかすっていくから、もどかしくなって俺が指先でそれをすくった。
 そして。

「えーっと……えいっ」
「ん!?」

 指先のクリームをどうしたものか、しばし考えてから慶人の口に突っ込んだ。反射的にちろりと動いた舌が俺の指先からクリームを舐め取り、それから遅れて慶人が裏返った声を上げる。

「な、なにしてんだよっ!?」
「わ、ご、ごめんっ!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ