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時給制ラヴァーズ

第3章 3.うそつきデートの行方


「だいぶ枚数撮ったな」
「俺も。ピントとか色々ブレブレだけど」
「むしろそういう方が臨場感出てていいかもな」

 あの後、あまり人がいないのをありがたく使わせてもらって、俺たちは必要な分だけの写真を撮った。
 あくまで写真の中だけの恋人同士を演じるためにひそめて撮っている分、大々的じゃない感じがある意味リアルになったと思う。
 ともかく写真の中だけは少し前まで友達でさえなかった二人とはとても思えないくらい仲が良さそうで、慶人はとても満足げだった。

「じゃあ最後、観覧車行こっか」

 そして遊園地のカップルといえばやっぱりここだろう。
 ジェットコースター同様、慶人はあまり高いところは好きそうではなかったけれど、その表情のおかげで係員さんには特に怪しまれなかったと思う。
 男二人で観覧車に乗る理由なんて勘ぐられたくないし、そもそも俺たちがアピールしたいのは、慶人のご両親であって他の人ではないのだから。

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