時給制ラヴァーズ
第3章 3.うそつきデートの行方
「ちょっとなんか飲み物でも買ってくるな」
そしてやっと下に着きゴンドラを降りてすぐ、慶人は口早にそう告げてどこかへ駆けていってしまった。よっぽど気まずかったのかもしれない。
いや、もちろん俺だってそういうつもりではなくても仕掛けてしまった分、この結果はとても気まずいし恥ずかしいんだけど。
……でもまあ、別にがっつりキスをしたわけじゃないんだし、ちょっと唇が当たったくらいなんだっていうんだ。乙女じゃないんだ。いい写真が撮れたと切り替えるのが一番だろう。
近くのベンチに深く腰を下ろし、そうやって気持ちを切り替えたタイミングで、慶人が両手に紙コップを持って返ってきた。
それを受け取ってお礼を言ったら、まだなにかを差し出されて首を傾げながら受け取る。
「なにこれ。どうしたの?」
「今日のお土産、ってことで」
手の上に乗せられたのは少し変わった形をしたキーホルダー。ここの遊園地のマスコットと思われるキャラが、にこにこ笑顔で左手だけをちょっと上げている。
なんでこのポーズなんだろうと思っていると、慶人が同じようなキーホルダーを俺の手の上に乗せた。
「こっちは俺の」
それはぱっちりおめめのスタンダードな顔で、俺のとは反対の手を上げている。その手を重ね合わせて軽く押すと、かちりと音がして手を繋いでるみたいにくっついた。
一見それだけで成立しているバラバラのキーホルダーが、こうして見ると最初からこの形だったみたいに存在してるのが、いかにも秘密の付き合いを持つカップルらしく。
そしてやっと下に着きゴンドラを降りてすぐ、慶人は口早にそう告げてどこかへ駆けていってしまった。よっぽど気まずかったのかもしれない。
いや、もちろん俺だってそういうつもりではなくても仕掛けてしまった分、この結果はとても気まずいし恥ずかしいんだけど。
……でもまあ、別にがっつりキスをしたわけじゃないんだし、ちょっと唇が当たったくらいなんだっていうんだ。乙女じゃないんだ。いい写真が撮れたと切り替えるのが一番だろう。
近くのベンチに深く腰を下ろし、そうやって気持ちを切り替えたタイミングで、慶人が両手に紙コップを持って返ってきた。
それを受け取ってお礼を言ったら、まだなにかを差し出されて首を傾げながら受け取る。
「なにこれ。どうしたの?」
「今日のお土産、ってことで」
手の上に乗せられたのは少し変わった形をしたキーホルダー。ここの遊園地のマスコットと思われるキャラが、にこにこ笑顔で左手だけをちょっと上げている。
なんでこのポーズなんだろうと思っていると、慶人が同じようなキーホルダーを俺の手の上に乗せた。
「こっちは俺の」
それはぱっちりおめめのスタンダードな顔で、俺のとは反対の手を上げている。その手を重ね合わせて軽く押すと、かちりと音がして手を繋いでるみたいにくっついた。
一見それだけで成立しているバラバラのキーホルダーが、こうして見ると最初からこの形だったみたいに存在してるのが、いかにも秘密の付き合いを持つカップルらしく。