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時給制ラヴァーズ

第3章 3.うそつきデートの行方

「わあすごい! エロイ!」
「なんでだよ」
「だって、こういうのさらっと買って渡せるって絶対モテるもん。かっこいいのずるい」
「この状況でそれっていっそ皮肉っぽいぞ」
「ううん、羨ましい。ありがとう」

 確かに今はふりとはいえ男同士でデートしている状況だし、これだってその小道具の一つに過ぎないんだろうけど。
 それでもやっぱり単純にかっこよくてすごいと思う。これはモテるし誰だって惚れる。

 その気持ちを素直に伝えたら、慶人は肩をすくめて笑って俺の隣に腰を下ろした。ぱきっと音がして離れたキーホルダーの片方を自分のポケットに入れたから、俺も同じようにしまった。こういう潜め方はやっぱりエロイ気がする。

 ともあれもらった紙コップを傾け喉の渇きを癒し、大きく息を吐いた。どうやらまだ解雇通知は出ないらしい。

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