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時給制ラヴァーズ

第3章 3.うそつきデートの行方

「貝殻とか拾ってこうか。んで、フォトフレームに貼んの。そこまでやったらやりすぎかな?」
「全然。そういう案大歓迎」

 結婚相手を求める親を撃退するための、男同士ラブラブバカップルを装うには、ベタでわかりやすくうざいくらいがちょうどいいらしい。

 こんなのはどうだろう、こういうのはいかがだろうか、とくだらない案を出し合い写真を撮りつつ辺りを少し歩いていたけど、残念ながらちょうどいい貝殻は見つからなかった。
 今度それっぽいものをネットででも買おうかと妥協して、俺たちは波打ち際を離れた。

 いい加減腹も減ったし、そろそろ戻ろうと意見を一致させ車に乗り込もうとしてふと気づく。
 駐車場の端に停まったままの車の存在。
 そこに停まっていたから、てっきり本当のカップルが浜辺でいちゃいちゃしてるかと警戒していたけれど、一回りしてもその影はなかった。

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