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時給制ラヴァーズ

第6章 6.雷鳴はまだ遠く

「お前はなんで続けてるんだ?」
「なんでって……それがわかんないんだよねぇ」

 わかっていたらこんなに悩んでいない。
 大体状況が特殊すぎるんだ。
 普通に考えて答えが出る問題ではないと思う。少なくとも、何事も楽しければいいやと突き進んでしまう俺に降りかかる問題じゃない。

「うーん、慶人が優しいからかなぁ。なんかさ、助けたいって思っちゃうっていうか。でも別にそれとこれとは話が違うし、嫌ならしなきゃいいんだけど、嫌とかそういうのでもないし。だからと言ってセフレとか言われるとなんか違う気しかしないんだよ。やってることは同じなんだけど、別にそれ目的で一緒にいるわけじゃないし」
「わかんねぇのか。自分で」
「わかんねぇんだよ。自分で」

 呆れだろうか、眉をひそめた難しい顔の城野に聞かれ、素直に頷く。

「もうずーっと考えてんだけどぜんっぜんわかんないんだよね。いっそ俺も慶人も気持ちいいこと好きってことで納得すればいいのかな。隠れていた性癖が偶然合っちゃったとか。ね、どう思う?」

 どの理由もしっくりこなくて答えは謎のまま。だから傍から見た上での答えが欲しかったんだけど、城野は慶人みたいに恐い顔で俺を見ていて、なにも言ってくれない。普段ならもっとぽんぽん言葉を投げてくれるのに。

「ん、え、俺がおかしい?」

 一丁前に悩むな、まごうことなきセフレだろバカってことだろうか? そもそも男同士でなにをやっているんだと言われたら、それはそうなんだけども。

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