時給制ラヴァーズ
第7章 7.ヴァージンペーパー
「そんなこと言ったら、そのうちボロが出るだろうと思って」
「ま、彼女の写真見せてって言われたら終わりだもんね」
きっとそういう余計な嘘をつくと後々面倒なことになるというのもわかっているんだろう。そもそも、こんなこと俺が口を出すようなことではない。それこそ慶人のプライベートの話で、対両親用として雇われた偽物の恋人の俺が関与すべき案件ではまったくない。
そう、俺はただの偽物の恋人だ。嫉妬する資格なんかない。
一つ息を吐いてから大根とツナをフォークの先でさくさく刺して口の中に放り込むと、バジルの香りで少し気分が落ち着いた。
うん。なにをイライラしてたんだろう俺。慶人が誰に告白されようが、どう答えようが、俺には関係のないことだ。
「……あのさ、天」
「あのさ慶人」
どうせするなら無駄話より俺と慶人の間で必要なことを話し合おうじゃないか。
そうやって改めて話を切り替えようと口を開いたタイミングで、慶人の呼びかけと被った。
だけど慶人は自分よりも俺を優先させて、話を譲ってくれる。こういうところも優しい。
「えっとさ、そろそろご両親に会ってみる?」
ここで順番を譲り合っていても仕方ないし、じゃあと話を進めた。
誰にも見られない恋人ごっこを続けていても仕方ないし、そろそろ目的を遂げるために色々始めてもいい頃だろう。
結果がどうなるにしろ、慶人にだって慶人の生活があって、いつまでもこのままじゃいられない。それこそ親に過剰に干渉されない状況を作れたのなら、ゆっくりと本当の恋人を作ったっていいわけだし。
俺だって、新しい部屋を探すならここに慣れすぎるより前に動いた方が色々いいと思う。……思いは、する。
「ま、彼女の写真見せてって言われたら終わりだもんね」
きっとそういう余計な嘘をつくと後々面倒なことになるというのもわかっているんだろう。そもそも、こんなこと俺が口を出すようなことではない。それこそ慶人のプライベートの話で、対両親用として雇われた偽物の恋人の俺が関与すべき案件ではまったくない。
そう、俺はただの偽物の恋人だ。嫉妬する資格なんかない。
一つ息を吐いてから大根とツナをフォークの先でさくさく刺して口の中に放り込むと、バジルの香りで少し気分が落ち着いた。
うん。なにをイライラしてたんだろう俺。慶人が誰に告白されようが、どう答えようが、俺には関係のないことだ。
「……あのさ、天」
「あのさ慶人」
どうせするなら無駄話より俺と慶人の間で必要なことを話し合おうじゃないか。
そうやって改めて話を切り替えようと口を開いたタイミングで、慶人の呼びかけと被った。
だけど慶人は自分よりも俺を優先させて、話を譲ってくれる。こういうところも優しい。
「えっとさ、そろそろご両親に会ってみる?」
ここで順番を譲り合っていても仕方ないし、じゃあと話を進めた。
誰にも見られない恋人ごっこを続けていても仕方ないし、そろそろ目的を遂げるために色々始めてもいい頃だろう。
結果がどうなるにしろ、慶人にだって慶人の生活があって、いつまでもこのままじゃいられない。それこそ親に過剰に干渉されない状況を作れたのなら、ゆっくりと本当の恋人を作ったっていいわけだし。
俺だって、新しい部屋を探すならここに慣れすぎるより前に動いた方が色々いいと思う。……思いは、する。