時給制ラヴァーズ
第7章 7.ヴァージンペーパー
「え?」
「俺の好きなとこは?」
「……」
窺うようにその目を覗き込んで問えば、慶人が言葉を詰まらせて沈黙した。
もうちょっと柔らかい展開を想像したのに、なんとも気まずい静寂が流れている。
ここで反応がないのは悲しい、かも。いや、さっきの子の時みたく、きっぱり拒絶されなかっただけマシか。
「ちょっとー困るよー。パッて言ってくんなきゃ。親御さんに聞かれた時に詰まったらどうすんの」
だからことさら明るい声を出して笑ってみせる。
そう、これは設定として必要なことなんだからそんな困った顔されても焦る。
一回の面接じゃ終わらないかもしれないけれど、とにかく俺たちが恋人同士だと信じてもらうために色んな質問に答えられるようにしておかないといけない。
だからこそのよくある質問対策として「どこを好きになったか」の答えは必要だと思う。決して俺がただ単に聞きたかったわけではなく。
「そうだな……」
あまりライト過ぎず、だからといってディープ過ぎず、仲がいいとわかってもらうための適度な答えを用意しないといけないんだけど、慶人はフォークを置き、腕を組んで考え込んでしまった。
俺の好きなところを答えるのにそこまで悩むものなのか。それはちょっと傷つくかもしれない。
「けーとくん考え込みすぎ。はい、時間切……」
「天の横だと、自然でいられるとこ、かな」
ともかく、はい終わりーと区切って、茶化して笑って、それでまた食事に戻ろうとしたのに、慶人が滑り込ませたその答えに思考が止まった。
「俺の好きなとこは?」
「……」
窺うようにその目を覗き込んで問えば、慶人が言葉を詰まらせて沈黙した。
もうちょっと柔らかい展開を想像したのに、なんとも気まずい静寂が流れている。
ここで反応がないのは悲しい、かも。いや、さっきの子の時みたく、きっぱり拒絶されなかっただけマシか。
「ちょっとー困るよー。パッて言ってくんなきゃ。親御さんに聞かれた時に詰まったらどうすんの」
だからことさら明るい声を出して笑ってみせる。
そう、これは設定として必要なことなんだからそんな困った顔されても焦る。
一回の面接じゃ終わらないかもしれないけれど、とにかく俺たちが恋人同士だと信じてもらうために色んな質問に答えられるようにしておかないといけない。
だからこそのよくある質問対策として「どこを好きになったか」の答えは必要だと思う。決して俺がただ単に聞きたかったわけではなく。
「そうだな……」
あまりライト過ぎず、だからといってディープ過ぎず、仲がいいとわかってもらうための適度な答えを用意しないといけないんだけど、慶人はフォークを置き、腕を組んで考え込んでしまった。
俺の好きなところを答えるのにそこまで悩むものなのか。それはちょっと傷つくかもしれない。
「けーとくん考え込みすぎ。はい、時間切……」
「天の横だと、自然でいられるとこ、かな」
ともかく、はい終わりーと区切って、茶化して笑って、それでまた食事に戻ろうとしたのに、慶人が滑り込ませたその答えに思考が止まった。