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時給制ラヴァーズその後の短編

第2章 まつり浴衣は夏の華

「ダメだよ、顔隠しちゃ。見せて」
「だ、だって、あッ、う、なんか、すげー恥ずかしい……」
「それが可愛いから見たいんだって、わざわざ言ってほしい?」

 俺が顔を隠したのをきっかけに、俺の手を押さえつけて顔を覗かせた慶人は、いつものクールさに快感の色を乗せていて、とても色っぽくかっこよくて。
 はだけた浴衣姿はいつもと違って、中を抉る熱さも激しさもいつも以上で、そのくせ口説き文句はいつも通りで、混乱して羞恥心が爆発しそうだ。

「あ、あっ、やだ、あ……んっあッ!」

 クーラーが効き始めた部屋の冷たさと、汗ばむ体と、打ち込まれる熱と、その全部が気持ちよさを増長させる。
 手を押さえられて顔を隠せないせいで、快感に歪む顔を見られるのが恥ずかしくて気持ちよくて、声が止まらない。
 しかも勝手に流れる涙を舐め取る慶人の舌でまた感じてしまい、呼吸をすることも二の次で。

「ぁ……っ、ん、あ、あせ……んんっ」
「ん」

 そんな中で、ぽたりと胸の上に垂れた慶人の汗でさえ体が跳ねるほど感じてしまい、それを見た慶人が前髪を雑に掻き上げてから、荒い吐息を漏らす唇を舐めた。
 そして欲を秘めた目で見下ろされて、繋がった部分が熱くうねったのがわかった。
 それからマグマみたいな快感が奥底から沸き上がってきて、慶人が動くたびそれがせり上がってくるのを感じて足先に力がこもる。
 このままじゃどうやったって浴衣を汚してしまうから、早く脱ぎたい。だけどそんな余裕もないし、そもそも慶人が許してくれない。

「アッ、ま、待って、イっちゃう、だめ、ゆかた……!」
「……ッ」

 揺さぶられ追いつめられた上での途切れ途切れの訴えがちゃんと伝わったのか、それがわかる前に目の前が真っ白になった。
 激しく責められ続ければ当然止めることも出来ず、だから慶人が俺の吐き出したもの全部を手で受け止めてくれていたと知ったのは、だいぶ後。
 浴衣を汚さないようにしっかりと手で受け止めてから俺の中でイくとか、どれだけ器用なんだ慶人の奴。

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