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時給制ラヴァーズその後の短編

第1章 短冊に想いを込めて

 短冊の書き方は知らなくてもそんなことは知っていたのかと感心しようとして、次の答えに首を傾げた。
 そうめんならまだしも、星型のかまぼこはさすがに普段から売っているものではない。
 それまで揃っているとはつまり。

「もしかして慶人、ここ来た?」

 今俺が見ているものと同じものを見て、買ったのだろうか。
 ということは、その前の行動もきっと同じはずだ。そう思って短冊だらけの笹を振り仰ぐ。

「もしかして、俺の短冊見つけた?」
『……見つけました』

 なぜか敬語で白状した慶人の言葉とともに、俺も自分の短冊を見つけた。
 少し高い場所に飾られている、白の短冊。書いたのは「ずっと一緒にいるよ」というシンプルな文言。
 慶人同様名前は書かなかったけれど、だからこそ周りから浮いているからわかったのだろうか。

「なんでわかったの?」
『実を言うと、白い短冊に書いてたのはわかってたから、それで探してみたらすごく天っぽいのがあって』
「そんな俺っぽいかなー?」
『字から天の声が聞こえた』

 大真面目な調子の慶人に思わず吹き出して、けれど俺の見つけ方も大概だということに思い当たってまた笑う。
 するとその笑いを違う意味に取ったのか、慶人が「なんだよ」と少し拗ねた調子で言うものだから今度は唇だけで微笑んだ。

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