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君と優しさはずるい

第14章 副作用

ぶーーと音がなり始めた

霧状の薬が出てくると星菜はむせ始めた

「ゲホッゲホッ…やだゲホッ…いやゲホッゲホッゲホッ…」

吸入のマスクから逃げようと顔を逸らしたり、俺の固定から逃れようとたくさん動く

今は俺1人だから抑えるのにも限度がある

「せな。いい加減にして。ちゃんとやらないなら最初からやり直しにするよ?今はなんの時間?」

すると星菜は動くのをやめてじっと座った。もちろん目には涙を浮かべて

「偉い。苦しいけどあと少しで終わるからな。頑張れ」

星菜はそして涙を流しながらむせ続けた

「ゲホッゲホッ…ヒクッ…ハァハァゲホッゲホッ…ヒクッ…ゲホッゲホッ…ハァ…」

それから5分星菜は苦しさに耐えた

ピーッピー

終了の音が鳴った。そして俺も星菜の口元からマスクを外した

星菜は体力を使い果たしてぐたっとしていた

「終わったよ。頑張ったな〜よしよし偉かった」

俺はたくさん涙を流した星菜の顔を準備していたホットタオルで綺麗に拭いた後にうがいをさせた

元々ぐずってたし熱あるしで機嫌悪くてそれに加えて大嫌いな吸入をした星菜は俺に抱きついていた

顔は俺の胸に押し当てて両手はぎゅっと俺の白衣を掴んでいた

俺は星菜を落ち着かせるように頭を撫でて背中をぽんぽんと撫でた

少し揺れながら撫でていたため星菜はすぐに眠った

俺からそっと離して顔を見るとまるで赤ちゃんのような顔をしていた

本心はしばらくこのまま星菜を抱っこしていたかったが星菜は熱があるためすぐにベットに戻して温かいようにさせた

しばらくは起きないだろうし俺も寝るか

俺は星菜の部屋の明かりを消してベットライトだけを最小限の明るさでつけた

そしてきつくなったらすぐにドクターコールかナースコールを押すこととメモを残して吸入器を片付けて医局へ行った

星菜のカルテにさっきの体温と吸入を済ませたことを書いて仮眠室で眠った

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