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君と優しさはずるい

第11章 入院


「んッ…グスッ…れい…くん?…ヒクッ…」

涙でいっぱいのせなちゃんの目と少し困ってそうな顔を見て俺は咄嗟に抱きしめるのをやめた

「ん?あ、ごめんな。少し強く抱きしめすぎたね」

俺はせなちゃんの涙を親指で拭って頭を撫でた

「全然大丈夫だよ?…せなとずっと一緒にいてくれる?」

せなちゃんは大きな瞳で俺の目を見て聞いた

「うん。ずっと一緒にいる。だからもう寂しくないよ」

「じゃあ玲くんはせなの旦那さんになってくれるの?」

話が結構飛んだな

「星菜が俺のこと貰ってくれるなら旦那さんになるよ」

「やった!せな玲くんと結婚する!」

せなちゃんは先程まで泣いていたとは思えないほどのとびきりの明るい笑顔で嬉しそうにはしゃいでいた

「もう泣き止んだ?」

「うん!玲くんありがと!さっきせなのこと星菜って呼んだでしょー!」

星菜ってどさくさに紛れて呼んでみたけどちゃんとバレてた

「そうだったかな?せなの聞き間違えじゃないの?」

俺は少しニヤッと笑ってせなちゃんに話かけた

「あっ!ほらまたせなって!玲くん嘘ついたから罰を与えます!」

「ん〜?どんな罰かな?」

せなちゃんは少し考えてパーッとした笑顔で言った

「玲くんはせなのことを一生星菜って呼ばないとダメ!」

「それが罰でいいの?」

「いいの〜!これが玲くんの罰です!わかった〜?」

「ふふ笑、わかったよ星菜」

星菜は誇らしそうな笑みを浮かべていた

「せな玲くんが笑ってるの初めて見た!玲くんの笑った顔せな好きだよ!」

ふふ笑、この子は将来人たらしになっちゃうのかな笑

「ありがとう笑、玲くんも泣いてる星菜の顔より笑ってる星菜の方が好きだな〜」

俺がそう言うと星菜は顔を赤くした

「ふふ笑、星菜顔が赤くなってる笑、かわいい」

星菜は恥ずかしかったのか俺に抱きついて、俺の胸に顔を押し当てて俺に見えないようにした

そんな星菜を俺は優しく頭を撫でた

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