君と優しさはずるい
第11章 入院
自分の部屋に帰る途中に大きなガラス張りの窓にソファーが置いてある場所を見かけた
俺は少し1人で考えたいなと思ってそこの場所に座った。ここは人通りが少ないし、唯一小児科で静かな場所だと思う
俺は窓の外を見ながら1人で考えた
心臓移植か……俺みたいな人間が他の人の命を貰ってまで生きていいのか……
俺が死んだら母さんも父さんも悲しむよな…
でももう疲れた…何も出来ないこの体と離れられると思うともう手術受けなくてもいいかな
心残りがあるとすれば星菜かな…でも星菜には優真達がいるし俺が近くにいても星菜を守れない…
星菜は俺と結婚したいって言ってくれたけど星菜にふさわしいのは俺じゃない…もっといい人がこの世にはたくさんいるから
俺の目からはすーっと1粒の涙が流れた。星菜に会いたいな…俺が生きている間はなるべく近くにいたい…
俺が体育座りして顔を隠していると後ろから声をかけられた
「わっ!!びっくりした?」
星菜が満面の笑みでこちらを見ていた。俺は泣いていたことが悟られないようにいつも通りに振舞った
「星菜おはよ、びっくりするからいきなり声をかけたらダメだよ?」
「は〜い!」
星菜はいつもの俺が好きな笑顔で言った
「玲くん泣いてたの?怖いの?大丈夫大丈夫、怖くないよ〜」
そう言って星菜はソファーに昇って俺の頭をよしよしと撫でてくれた