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君と優しさはずるい

第12章 優しい先生


私は慌てて先生を止めた

「先生!待って!行かないで!」

先生はドアに向かう足を止めて私の方を向いた

「どうした?」

ただ呼び止めることしか考えてなかった……どうしよ……

とりあえず何か言わなきゃ

「えっと……せんせ?……」

「ん?何かあるなら早く言って。何も無いなら薬取りに行くから」

あっそうだ!

「先生まって!先生さっき言ってくれたこと覚えてる?」

「ん?俺さっき何か言った?」

「ほらあれだよあれ!私のそばにずっといるから1人じゃないよって言ってたじゃん!だから行かないで?」

これを言えば先生は薬を取りに行くことが出来ないはず!

先生はまたため息をついて私の方へ歩いてきた。いい感じに先生を引き止められてる!

「せな?それは物理的な距離って言うよりも精神的な距離って意味なんだけど。まぁ星菜が物理的にも俺と一緒にいたいって言うなら一緒にいよっか?それに俺がわざわざ薬取りに行かなくてもナースコールで持ってきてもらえばいい話だから」


先生は私の方を見てニヤッとして言った

私は急いでナースコールを握って布団の中に隠した

「薬を取りに行かせないようにしてることなんてバレバレだから。それに今日はもう嫌なことはしないって言ったでしょ?点滴だけだから。点滴ならいいでしょ?」

先生は私が座薬が嫌で嫌がってることもわかってたみたい

点滴も嫌だけど座薬よりマシ。私は静かにうんと頷いた

「偉い偉い。先生すぐ戻ってくるから大人しく待っててな」

先生は私の頭をポンポンと撫でて病室から出て行った

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