キス魔は浴衣で燃える
第2章 2.到着
「あー、あー……うん。ごめん。旅行の前日だからちょっとテンション上がってた、のかな」
「ま、そういうお前も可愛いかったから、やりすぎた俺もあおいこってことで。ほら、さっさと入るぞ。冷えるだろ」
そうか。これもあったから慶人は大浴場に来ることを渋っていたのか、と今更に納得して、なんだか申し訳なくなる。
これで普通に人がいたら、かなりオープンなカップルとして見られていたかもしれない。そうじゃなくたって目を引いただろう。考えが足りなかった。
だけど慶人は落ち込む俺の肩をぽんっと叩いてさっさと湯船の方に行ってしまった。だから俺はすぐさまお湯をかぶって体を洗い終えると慶人の後を追う。
「待って待って。俺も入る」
持っていたタオルを縁に置き、滑り込むようにして待望の温泉に浸かった。少し熱めの温度が体に染みる。ああ、温泉だ。
「はあ~気持ちいい~」
肩まで浸かって、ついでにタオルを畳んで頭に乗せると、見ていた慶人がベタすぎると笑いだした。だからそのほっぺたを摘んでやろうと手を伸ばすと、その手を握られ「気持ちいいな」なんて微笑まれたから、大人しく慶人の隣に並ぶ。
そういうタイミングかわざとかわからないけど、どちらにせよ一本取られた。
だからふうと小さくため息をつき、吸い込む時はいっぱいに温泉の匂いを嗅いだ。
揺らぐお湯を片手ですくって、落として、指で弾いて、そのたび出来る波が慶人にも当たって弾けるからお返しされて。そんなちょっとのことで楽しんでいると、二人で旅行しているという事実がじわじわと染みてくる。
「ま、そういうお前も可愛いかったから、やりすぎた俺もあおいこってことで。ほら、さっさと入るぞ。冷えるだろ」
そうか。これもあったから慶人は大浴場に来ることを渋っていたのか、と今更に納得して、なんだか申し訳なくなる。
これで普通に人がいたら、かなりオープンなカップルとして見られていたかもしれない。そうじゃなくたって目を引いただろう。考えが足りなかった。
だけど慶人は落ち込む俺の肩をぽんっと叩いてさっさと湯船の方に行ってしまった。だから俺はすぐさまお湯をかぶって体を洗い終えると慶人の後を追う。
「待って待って。俺も入る」
持っていたタオルを縁に置き、滑り込むようにして待望の温泉に浸かった。少し熱めの温度が体に染みる。ああ、温泉だ。
「はあ~気持ちいい~」
肩まで浸かって、ついでにタオルを畳んで頭に乗せると、見ていた慶人がベタすぎると笑いだした。だからそのほっぺたを摘んでやろうと手を伸ばすと、その手を握られ「気持ちいいな」なんて微笑まれたから、大人しく慶人の隣に並ぶ。
そういうタイミングかわざとかわからないけど、どちらにせよ一本取られた。
だからふうと小さくため息をつき、吸い込む時はいっぱいに温泉の匂いを嗅いだ。
揺らぐお湯を片手ですくって、落として、指で弾いて、そのたび出来る波が慶人にも当たって弾けるからお返しされて。そんなちょっとのことで楽しんでいると、二人で旅行しているという事実がじわじわと染みてくる。