テキストサイズ

キス魔は浴衣で燃える

第2章 2.到着

「なんか、のんびりしてんね。たまにはこういうのもいいかも」

 手を繋いで、足を伸ばして一緒に温泉に入る。なんとものんびりした贅沢な時間だろうか。
 大きく息を吸って、それからゆっくり吐き出したら、それだけでなんだか幸せを覚えた。

「慶人の隣にいるとさ、なんかいつもとは違う時間の流れ方してる感じがする」
「それ、俺もよく思う」

 他の友達とは違う。慶人と俺の間に存在する空間や時間の流れ方は、他の誰とも違っていて、だからこそとても特別で。
 一目惚れとか電撃が走るとか、そういう劇的な感情じゃなくて、パズルのピースがはまった気持ちよさを感じるというか。
 出会いがだいぶ変わっていただけに、こんな風にゆっくりした時間を一緒に過ごせるようになるとは思わなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ