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キス魔は浴衣で燃える

第2章 2.到着

「ちょっ……もしかして、浴場で欲情しちゃった?」

 無言のままがっつくその感じに、ちょっとばかり茶化して聞けば、慶人の動きが止まり、それから意外と素直にこくんと頷かれる。
 あ、マジでそーなのか。

「浴衣のお前って、すげー卑怯」
「似合ってる?」
「誘われてんのかと思った」

 浴衣の裾を払い、下着の中に手を入れてくる慶人の顔は真剣すぎてちょっと恐い。でもそれはそれでやっぱりかっこいいのに会話はいまいちキャッチボール出来ていなくて、ちょっとだけ首を傾げて再度問う。

「それってどういう意味?」
「後で写真撮らせて」

 やっぱり答えになってない。けど、どうやらだいぶ気に入ってくれたらしいってことはわかった。
 いまいち状況に頭が追いついていけていないせいで、まだ反応していない俺自身を取り出し自分のものと合わせた慶人は、すでにだいぶ元気な状態で。むしろよくここまで帰ってこれたなと感心してしまいそうになるほど。
 やっぱりクールな顔って強い。まさかこんな風になっているなんて、その表情からは窺い知れなかったんだから。

「ん、ご飯、まだ大丈夫かな」
「……最後まではしない」

 時間的には夕食まではまだだいぶある。だから大丈夫だとは思うけど、時間は気にして見ておかなきゃ。
 そう思ったものの、掠れた声でそれだけ告げた慶人の切羽詰まった状態は俺が考えていた以上だったらしい。

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