キス魔は浴衣で燃える
第2章 2.到着
「ふはー腰抜けた……」
横向きに倒れ込んだ俺を追うように、同じ体勢で寝転がる慶人。俯いているせいで表情はわからないけど、きっと慶人も同じくらい感じていたはずだ。
「……とりあえず、換気しよっか」
ともかく夕飯の支度をしに仲居さんが来る前に証拠隠滅をはからなくては。
ひとまず一端仕切り直しをしようとなんとか立ち上がると、窓を開けに向かう。とは言えそこは普通の窓ではなく露天風呂に続くものだから、大きく開けた途端温泉の匂いが部屋に入ってきた。むしろこれで色々痕跡が消せるかもしれない。
そうやってほっとして振り返った瞬間、黙って寝転がっていた慶人がごろりと反対側に転がるのが見えた。
「あああああ……!」
次いで、なんだかやたらと悲痛な呻きを漏らしつつ丸まる慶人。
「なに、どーしたの」
驚いて呻く慶人の横に戻って顔を覗き込むようにしゃがむと、慶人は頭を抱えたまま俺を睨むように見上げてきた。なぜか涙目だ。
「マジで、今言っても説得力ないと思うけど、俺は本当にエロには興味ないんだ……!」
「……確かに説得力ないし、男としてそれを宣言するのはどうかと思うんだけど」
今二人でなにをしていたか。それだけでエロに興味ないってのがただの戯れ言であることは事実だし、それが本音だったとしてもそれはそれで問題があると思う。
横向きに倒れ込んだ俺を追うように、同じ体勢で寝転がる慶人。俯いているせいで表情はわからないけど、きっと慶人も同じくらい感じていたはずだ。
「……とりあえず、換気しよっか」
ともかく夕飯の支度をしに仲居さんが来る前に証拠隠滅をはからなくては。
ひとまず一端仕切り直しをしようとなんとか立ち上がると、窓を開けに向かう。とは言えそこは普通の窓ではなく露天風呂に続くものだから、大きく開けた途端温泉の匂いが部屋に入ってきた。むしろこれで色々痕跡が消せるかもしれない。
そうやってほっとして振り返った瞬間、黙って寝転がっていた慶人がごろりと反対側に転がるのが見えた。
「あああああ……!」
次いで、なんだかやたらと悲痛な呻きを漏らしつつ丸まる慶人。
「なに、どーしたの」
驚いて呻く慶人の横に戻って顔を覗き込むようにしゃがむと、慶人は頭を抱えたまま俺を睨むように見上げてきた。なぜか涙目だ。
「マジで、今言っても説得力ないと思うけど、俺は本当にエロには興味ないんだ……!」
「……確かに説得力ないし、男としてそれを宣言するのはどうかと思うんだけど」
今二人でなにをしていたか。それだけでエロに興味ないってのがただの戯れ言であることは事実だし、それが本音だったとしてもそれはそれで問題があると思う。