キス魔は浴衣で燃える
第1章 1.お誘い
「え、いいよ。ちゃんと払うよ。最初に、関係はイーブンだって言ったでしょ」
「……天はそう言うだろうと思った」
タダとか安いって言葉は好きだけど、これはなんだか違う気がする。そりゃ予算というか資産の違いは大幅にあるとしたって二人で楽しむ旅行で同い年の男におごられるっていうのは単純に男として簡単には受け入れづらい。
どうやら俺がそう答えるのは予想済みだったらしい慶人は、はにかむように笑って頬を掻いた。
「でもさ、今回はお疲れ会っていうか、祝勝会みたいな感じで俺から贈らせてくれないか? 天のおかげでこんな風に色んなことが上手くいったんだし」
俺の手を握り、窺うように首を傾げて顔を覗き込んでくる慶人が、この間までどれだけ一つのことに頭を悩ませていたか俺は知っている。
それがきっかけで俺たちは出会ったのだし、こういう関係に落ち着いているのもそれが理由。だから慶人がそう言ってくれるのもわかるんだけど。
「でも俺だって家のこととか助かったし」
慶人が上手くいったというのなら、俺だってそうだ。
住む家がなくなりそうで困ってた俺に手を差し伸べてくれたのは慶人だ。
だからやっぱり関係はイーブンだし貸し借りなしのフラットな関係でありたい。そうやって素直に告げる俺に対し、慶人は小さく息を吐いて優しく微笑んだ。
「天のそういうとこ好きだ」
そして握った手に触れるだけのキス。最初の誘い文句と併せて、やっぱり騎士にダンスに誘われているみたいだし、それが似合うのが慶人らしい。
「……天はそう言うだろうと思った」
タダとか安いって言葉は好きだけど、これはなんだか違う気がする。そりゃ予算というか資産の違いは大幅にあるとしたって二人で楽しむ旅行で同い年の男におごられるっていうのは単純に男として簡単には受け入れづらい。
どうやら俺がそう答えるのは予想済みだったらしい慶人は、はにかむように笑って頬を掻いた。
「でもさ、今回はお疲れ会っていうか、祝勝会みたいな感じで俺から贈らせてくれないか? 天のおかげでこんな風に色んなことが上手くいったんだし」
俺の手を握り、窺うように首を傾げて顔を覗き込んでくる慶人が、この間までどれだけ一つのことに頭を悩ませていたか俺は知っている。
それがきっかけで俺たちは出会ったのだし、こういう関係に落ち着いているのもそれが理由。だから慶人がそう言ってくれるのもわかるんだけど。
「でも俺だって家のこととか助かったし」
慶人が上手くいったというのなら、俺だってそうだ。
住む家がなくなりそうで困ってた俺に手を差し伸べてくれたのは慶人だ。
だからやっぱり関係はイーブンだし貸し借りなしのフラットな関係でありたい。そうやって素直に告げる俺に対し、慶人は小さく息を吐いて優しく微笑んだ。
「天のそういうとこ好きだ」
そして握った手に触れるだけのキス。最初の誘い文句と併せて、やっぱり騎士にダンスに誘われているみたいだし、それが似合うのが慶人らしい。