キス魔は浴衣で燃える
第4章 4.ふたり
「あー贅沢だなぁ」
桧の香りと温泉の香りが混ざり合い、独特の匂いが満ちた露天風呂は大浴場とはまた違う良さがあって、深呼吸をしてその匂いを吸い込んだ。
目の前に広がるのは月明かりでキラキラ光る夜の海。こんな光景を二人占め出来るなんて贅沢すぎる。
夕飯も豪勢で、部屋についてる露天風呂に入って、景色も良くて向かいには大好きな恋人がいる。こんな贅沢な状況は早々ない。
「喜んでくれたなら良かった。どうせなら思い出に残るようなデートがしたいと思ってたからさ。どうしたら天が喜んでくれるかって色々考えたんだ」
そんな風に言ってくれる慶人に視線を移し、俺は大きく息を吐いた。
慶人のことは好きだ。でも、気持ちが足りないと思ってた。
友達の好きと恋人の好き。その違いがいまいちわからなくて、だから俺の気持ちはまだまだ慶人と想い合うには足りないと思ってたんだ。
「……天?」
熱くて気持ちのいい温泉。
確かに体は温まったけど、……俺が欲しいのはこの熱じゃない。
「けーと」
手を伸ばす。その指先を絡めるようにして握ってくれる慶人。指が、手が、熱い。
「なんか俺、今、すっげーしたい、かも」
「……いちゃいちゃ?」
「ていうか、セックス」
握った手を引き寄せ、ずばり直球で告げる。回りくどさは、今はいらない。
桧の香りと温泉の香りが混ざり合い、独特の匂いが満ちた露天風呂は大浴場とはまた違う良さがあって、深呼吸をしてその匂いを吸い込んだ。
目の前に広がるのは月明かりでキラキラ光る夜の海。こんな光景を二人占め出来るなんて贅沢すぎる。
夕飯も豪勢で、部屋についてる露天風呂に入って、景色も良くて向かいには大好きな恋人がいる。こんな贅沢な状況は早々ない。
「喜んでくれたなら良かった。どうせなら思い出に残るようなデートがしたいと思ってたからさ。どうしたら天が喜んでくれるかって色々考えたんだ」
そんな風に言ってくれる慶人に視線を移し、俺は大きく息を吐いた。
慶人のことは好きだ。でも、気持ちが足りないと思ってた。
友達の好きと恋人の好き。その違いがいまいちわからなくて、だから俺の気持ちはまだまだ慶人と想い合うには足りないと思ってたんだ。
「……天?」
熱くて気持ちのいい温泉。
確かに体は温まったけど、……俺が欲しいのはこの熱じゃない。
「けーと」
手を伸ばす。その指先を絡めるようにして握ってくれる慶人。指が、手が、熱い。
「なんか俺、今、すっげーしたい、かも」
「……いちゃいちゃ?」
「ていうか、セックス」
握った手を引き寄せ、ずばり直球で告げる。回りくどさは、今はいらない。