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キス魔は浴衣で燃える

第4章 4.ふたり

 ともあれそそくさと出ていった慶人を見送って、お湯の中に沈み込んだ。
 少し熱めのお湯は、あまり長いこと入っているとのぼせそうだ。いや、その前に違う意味でのぼせそうな行動を自分で、した。

 ……ちょっと、いやだいぶ恥ずかしいことを言った、だろうか。
 でもしたいと思ったんだから仕方ない。
 うん。思い返してみれば、慶人が暴走するまではなんとなく流れで声をかけていただけで、恋人となってからは慶人に求められるままにしかしていなかったかも。

「でも、思っちゃったんだもんなぁ……」

 呟いて、それがどうしようもない衝動だと確認して、そして覚悟を決めて風呂を出た。
 改めて、自分で抱かれに行くと思うと緊張して少し逃げたくなるけど、いつまでも温泉に浸かっているわけにはいかないし、なにより自分で望んだことだ。あまり待たせたくもない。

 一度大きく深呼吸をしてから、言われたとおり丁寧に体を拭き、浴衣を着込んで部屋に戻る。
 すると慶人も同じようにちゃんと浴衣着ていたんだけど。

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