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キス魔は浴衣で燃える

第4章 4.ふたり

 色々用意があったんだろう。あまり目立たないように用意されたものを並べたまま、まるで武士のように布団の横に正座して座ってて、思わず小さく笑ってしまう。どうやら慶人も緊張してるみたいだ。
 でも、今はあまり余裕がないらしい慶人にその笑いを見咎められた。鋭い視線だけで叱られて、誤魔化す笑いを浮かべながら近づいたら手を伸ばされ。

「……!」

 掴もうとした手を逆に引っ張られ、よろけた体を抱き止めるように抱えた慶人は、そのまま流れるように俺を押し倒した。
 あまりの早業に俺が呆気に取られている間に、深いキスが降ってくる。

「は……ぁ」

 リップ音というほど可愛くない濡れた音、絡められた舌に理性が溶けていく。
 慶人とこういうキスをするようになって初めて唇にもちゃんと気持ちいいという感覚があることを知った。それに合わせて髪を梳かれたり耳の後ろをなぞられたり、そんなことだけで腰が疼くようになってしまったのは絶対慶人のせいだと思う。

 慶人の指は無骨なくせして器用で、触れた場所から熱が沸き出してくるみたい。
 そして唇が俺の首筋に移るのと同時に、その指先もはだけた浴衣の胸元へと下りる。
 男の平たい胸を触ってなにが楽しいかわからないけど、慶人はいつも執拗にそこを触ってくる。これもまたフェチだろうか。

「けーと、それやだ」

 はあ、と熱っぽい息を吐き出して、軽く肩を押したら、少しだけ顔を上げた慶人に真意を窺うような目を向けられた。

「触ってほしいの、そこじゃない」

 だからはっきりとそう言ってやると、一瞬驚いた顔をされた後、了解とでも言うようなキス一つをもらって、それから慶人が俺の脚を浴衣の裾から引き出した。そして持ち上げた脚を肩に掛けるようにして、太股にちゅー。次いで指先が潜り込んだ下着をずらし、ゆるりと勃ち上がった俺自身を手荒くしごき出す。

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