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キス魔は浴衣で燃える

第1章 1.お誘い

「お前には隙がないより好きって言われたいな」

 その上、にこっと笑ってこのセリフ。なにがあれって、これを本気で言ってるのが慶人のいいとこで恥ずかしいのにかっこいいとこ。

「……降参。わかった。じゃあ今回は大好きな慶人のお言葉に甘える」

 両手を上げ、白旗を振って降参すれば、慶人は嬉しそうにはにかんでもう一度俺の手の甲にキスをした。

「良かった。ずっとお礼したかったし、なにより天とちゃんとした思い出作りたかったから」

 口説いているつもりがあるのか素なのか。
 真面目にしていると恐いその顔をほっとしたように緩ませ嬉しそうにそんなことを言う慶人には、本当に色んな意味で白旗だ。なんだか顔が熱くなってきた。
 しかしそうとなったら気持ちを切り替えなきゃ。

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