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キス魔は浴衣で燃える

第5章 5.朝

「あ、今日は浴場で欲情しないでね?」
「…………おう」
「なに今の間」

 タオルタオルと探しつつ、何気なく投げた忠告に変な間が空いて答えが返ってくる。
 これは、なにかするつもりということだろうか。
 それとも積極的にではないにしろ、暴走の可能性があるとか?

「えっと、大丈夫だよ。慶人はいつでもなにしててもかっこいいから」
「そういうの」

 とりあえず、暴走しようが可愛かろうが、基本情報として慶人がかっこいいのは変わりないよとフォローを入れたつもりだったんだけど、やたら呆れた声で指摘されて思わずまばたきを繰り返してしまった。

「え?」
「俺のスイッチ。天が、そうやって簡単に押すんだよ」

 まるでそれがスイッチみたいに俺の鼻をちょんっとつついて、同じような軽さでキスをする慶人。

「そのたびこういうことしたくなるから、少し気をつけなさい。天のためにも」
「……気をつける必要なくない?」

 考えたけど、キスしたくなったり抱き合ったり、二人の間ならそうなりたくなったって別に問題ないと思うんだけど。

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