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それでも貴方が恋しくて

第1章 再会

みんなお酒も入って、盛り上りがピークに達していた。私も久々にお酒を飲んで結構酔っ払ってきちゃったな。

ふわふわして、それがとても気持ちいい。

今日は司も詩織もいないし、時間を気にせず過ごせる。

今まで我慢してきたわけじゃないけど、今日がなんだか楽しくて仕方ない。結婚する前に戻ったみたいで、少しだけ気が楽になっちゃってる。たまにはこういうのもいいかもしれない。

「悪い!遅くなった!」
「お、将が来たぞ~!」
「将おっせ~よ。もうボチボチ二次会行くべ~」

私は将の声がした方に振り向いた。
すると将と目が合って、将はニコッと笑い手を振ってきた。

私も微笑んで控えめに手を振った。

将は色んな人に囲まれて、なかなか抜け出せない感じになっている。私はお酒で火照った体を冷やす為にバルコニーに出て、心地よい夜風に吹かれながら体を鎮めていた。

「未紗」

10年以上ぶりに私の名前を呼んだ将の声を聞いた。
胸がドキッと弾んで妙に緊張する。

振り向くとグラスを2つ持った将が近付いて来た。

「お前結構酔っ払ってんだろ?ほれ、水飲めよ」
「あ、うん。ありがとう」
「…久しぶり。元気してた?」
「うん。将は?」
「元気だったよ」
「そっか」

私達は夜空を見上げて少しだけ沈黙が続いた。

「旦那とは上手くいってんの?」
「喧嘩もしないし、俗に言う仲良し夫婦ってやつ…かな?」
「…ふーん。そっか」
「将はどうなの?結婚して1~2年でしょ?新婚さんじゃん」
「まぁ、うん。普通かな」
「そっか」

「「あのさ」」

私と将は声を揃えて互いを見つめ合った。

周りのガヤガヤした音がスーッと消えて、時間が止まったような感覚に陥る。これは一体どういう状況なんだろう。

たくさん人がいるのに、ここに居るのは私と将だけなんじゃないかって思うほど、すべての音が遮断されて周りが見えなくなっている。

「未紗、ごめん。俺さ…未紗が妊娠して、結婚してからどう接したらいいか分かんなくて距離置いた。何回も連絡しようとは思ったんだけど…」
「私もだよ。連絡しようかなって何回も思った。でも、できなかった」
「あのさ、これから連絡してもいいか?」
「…うん。昔みたいに愚痴言ったりし合おうよ」
「そうだな」

将は何だか嬉しそうに笑ってた。
…その笑顔が私の胸の高鳴りを加速させていく。

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