慕情
第41章 記憶…
【記憶…】
紫仙は
神楽だった頃の記憶を少しずつ思いだし…
「確か…一番に抱っこさせて…名は月詠…
この子に銀の鈴を贈って…その後は…」
紫仙は独り言の様に呟くと
少しずつ顔色が青ざめていく…
「ああ~ッ!!やっぱ…無理無理~!!」
紫仙は
自分の腕の中で玉のような綺麗な顔立ちの
赤子を貴殿様に渡そうとするが…
「おおっと…!!私も我が子を
一番に抱っこしたかったのだが…あの刻…
紫仙が、どうしても月詠を育てたいと
申し出たので…もし…
私が月詠を抱っこしてしまうと…情が湧いて
しまうし…今の紫仙は自害してしまいそう
だから…良い機会だ…
紫仙に生きる希望を与えようぞ…」
貴殿様は
紫仙に嬉しそうに、そう言うと…