慕情
第42章 協力者
【協力者】
と、その人物は月詠に配慮をしてか…
ほどよい風と共に薄紫の衣を翻し…
静かに爪先を地に付け飄々とし…
見た目は中性的で美しい容姿だ…
「おや…?天ではないか…久しいな…
紫仙と共に月詠を成人の儀まで育て上げて
くれれば…そなたにも褒美をくれようぞ?」
貴殿様は…
天…と呼ばれる人物に提案した…
「そうですね…ですが、御断りします…
我が子ではない他人の子を育てるのは…
ちょっと…無理ですね…」
天は紫仙の腕の中で、すやすや眠る
月詠を見ながら申し訳なさそうに答えた…
それを聞いていた紫仙は…
「アッハッハ…義兄上…月詠は、
どうします?せっかく待ちわびた御子が
誕生したというのに…」
これでは、あまりにも月詠が可哀想だ…
と、紫仙は貴殿様に、そう言った…