慕情
第4章 御祝いの品
神楽の挨拶に対して
何も反応を見せない貴殿様に…
「ねぇ…義兄上さん…?
俺も、ちゃんと挨拶したんだけど…?」
神楽は、まるで自分も褒めてよ?
と、言わんばかりな立ち振舞い…
「あぁ…神楽…久し振りだね…
元気そうで何より…逢えて嬉しいよ…」
貴殿は優しく…微笑んだ…
ところで…と貴殿様は貴女様に近寄り…
「お見苦しい会話をしてしまい…
お恥ずかしい限りです…とは、この事か?」
貴殿様は貴女様の手に持っていた
春画帳を手に取り…一枚、一枚…
頁をめくり…指で顎をなぞりながら
そう聞いたのだった…
「は、はい…」
今の貴女様は
姉上でもなく管理者の肩書きを忘れ…
その姿は、一人の女性であった…