慕情
第49章 十七の儀
「そうですか…では母上の居る
【神仏の領域】に入って参ります…」
月詠は紫仙に挨拶をし踵を返すと…
「ああ…月詠…ちょっと待て…
通行証を渡しておこう…
これがなければ【妖魔の領域】にも
【神仏の領域】にも入れんからな…」
と、紫仙は腕輪を月詠に嵌めてあげた…
「この腕輪…見たことないですね…
ですが、二つも嵌めなくても…」
月詠は、とても綺麗な漆黒の腕輪と
純白の腕輪を眺めて、そう言うと…
「まぁ…親馬鹿だろう…【仙人の領域】を
旅立つ時に我が子に嵌めて欲しいと…
お前の両親に言われたからな…」
紫仙は肩を竦めてそう言うと…
「そうですか…
私は紫仙様にも両親にも愛されて幸せ者です」
月詠は顔を綻ばせ、そう言った…