慕情
第50章 神仏の領域
「おいッ!!下を見ろッ!!」
月詠は、その声に従い下を見た…
「おいッ!!あたいを見下すなッ!!」
月詠は思わず…微笑んでしまった…
「おいッ!!何が可笑しいッ!!
名を名乗れッ!!怪しい奴だなッ!!」
それを聞いた月詠は…
「あっ…これは失礼しました…
門番さん…私の名は月詠と申します…
決して怪しい者ではございません」
月詠は門番の背丈に合わせて
跪きながら、そう答えた…
「あたいの背は、そんなに小さいのか…
いや、いや…そんな事は、どうでも良い…」
月詠は小さな門番を見て、幼少期の頃
よく遊んでくれた小豆に似ていたので
少しホッとして緊張が解れた…
「月詠…という名は【神仏の領域】の
巻き物には記載されてないぞ?」