慕情
第50章 神仏の領域
小さな門番は手に持っている巻き物と
月詠を交互に見ながら、そう言うと…
「ああ…それも、そのはず…実は…」
と、月詠は言葉に詰まる素振り…
「おいッ!!ますます怪しいぞッ!!
はっきり答えんかいッ!!」
門番は地団駄を踏みながら、そう言った…
「困りましたねぇ…私は貴女様からの極秘任務
で長らく旅に出てまして…久方振りに此方に
還ってきたのです…」
月詠は
紫仙に嘘を付くように言われていたのだ…
それもそのはず…月詠は妖魔と神仏の子
でもあり非常に稀な血統の持ち主…
月詠の存在が
公の場に出てしまえば命を狙われかれない…
巷の噂では不老不死やら人身売買…
その美貌で上流階級の観賞用として扱われる