慕情
第3章 紫仙の過去
それを聞いた神楽は…
「それこそ、俺とお前が食うべきだろう?
御偉いさん方が腹を壊さないように
死なないように毒味役をしてるんだよ?
初物なら尚更…長生きするぞ?」
神楽は、ひらりと優雅に舞い降りた…
「そ、そうだよね…毒味役かぁ…」
泡沫は固唾を呑み込みながら…
熟した桃をパクリと頬張る…
続けて泡沫は…
「これは…美味ですねぇ…」
と、瞼を閉じて…味わっている…
それを見ていた神楽は…
「これで俺と泡沫は共犯だな…?
もし見つかったら…逃げるか…処罰だな?」
と、飄々としている…
「ゲホッ…ゲホッ…きょ、共犯…?
逃げる…?処罰…?」
泡沫の表情が、だんだんと青ざめていく…