偉大な魔道士様に騙されて体を捧げることになりました
第3章 甘美な毒の回り
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押し倒された私の前には赤いルビーの瞳
あまりに綺麗でどこか危うい光に吸い込まれそうだ
「想像以上だ」
「…?んっ」
なにを、と聞きかす前に唇を食べられてしまった。
ちゅ、ちゅ、と何度も角度を変えて落とされるキスの雨に思考が停止してしまい抵抗する暇も与えてくれない。
「っ、っ…!」
はじめて感じる柔らかさに心臓が暴れ出す。
シヴァリエ様の右手が腰をなぞりドレスの紐を手際よく解いていく
待って欲しいと目で訴えても熱く塞がれた唇のせいで伝えることは叶わない
あっという間に体を纏っていた布は無くなり、真っ白な肌が外気に触れる。
そこでやっと、キスの雨がやんだ。
「一糸まとわぬ貴方の美しさは凶器だな」
「シヴァリエ様っ…あの、そんなに見ないでくださいませ…っ」
熱い視線に魅入られ羞恥心に襲われた私はなんとか両手で体を隠そうとするが華奢な細腕ではどうにもならず、涙が滲む
「そんな顔で見つめられたら余計に目が離せないな、綺麗だよステラ」
耳元で囁かれた名前にびくりと体が震える。
全身の体温が一気に上がり、シヴァリエ様の声が脳に焼き付いた。
「…っ!」
上体を起こしたシヴァリエ様は荒々しく服を脱ぎ捨て、引き締まった形のいい体を露わにする。
あまりの羞恥に両手で顔を覆う。
まさか天才と名高い魔道士様と肌を見せ合う時が来るなんて、夢にも思わなかった。