偉大な魔道士様に騙されて体を捧げることになりました
第4章 魔道士の本性
「ふっ、はは…」
「…?」
ぼう、としていた頭にふってきたシヴァリエ様の声で現実に連れ戻される。
シヴァリエ様は首を傾げる私を堪えきれない、といった表情で見つめていた。
なにか、おかしなことをしてしまったのだろうかと困惑する私にシヴァリエ様は言うー…
「あぁ…ステラ、君は本当に愚かで…最高に愛おしいよ」
愛おしそうに頬を撫で、じっとりと見つめられながら頬を舐められる。
ざらり、とした感触とともに芽生えた小さな恐怖心
「シヴァリエ…様…?」
「ステラ…どうして“君以外”の家族が突然奇病にかかってしまったのか、わかるかい?
…どうしてまだ明らかになっていない奇病の治療法を、医者が知っていたんだと思う?」
「…え」
(なにを仰っているの…?)
まるでその全てに自分が関与しているとでも言いたげな含みのある発言に私は全身が固まるのを感じた。
先程までの熱はあっという間に冷めていき、シヴァリエ様の胸板に置かれた手が震え出す。
「魔法ってね、色んな使い方があるんだ
例えば人の行動や言葉を操ったり、病を治すだけじゃなくて移したり与えたり、“創ったり”することも、できるんだよ」
ニコリ、と微笑むルビーの瞳が怪しく光を放つ
頭を鈍器で叩かれたような衝撃に目眩がした。
「…シヴァリエ様、なん、の…ご冗談を」
「僕、言ったよね?冗談はすきじゃないんだ」
ふふっ、と穏やかに微笑まれても今の私にはそれがとても恐ろしい。
「っ…!!」
「あぁだめだよ、僕を飲み込んだまま離さないから、無理に抵抗すると傷ついちゃうよ」
今すぐ逃れたくて、身をよじっても腰に巻かれた腕がそれをさせてはくれない。