偉大な魔道士様に騙されて体を捧げることになりました
第2章 魔力の回復方法
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シヴァリエ・レオポルドが住まう館に泊まることになった私はそのもてなしぶりに絶句していた。
夕食時、魔道士が指を鳴らすだけで何も無かったはずのまっさらなテーブルに眩い装飾がなされ暖かなご馳走が一瞬で姿を表したり
湯浴みには雲のような白くてもこもこの物体からお湯がパラパラと降ってきたり(魔道士曰く、しゃわーというものらしい)
用意された客室の天井には夜空をこの部屋に閉じ込めてしまったのかと錯覚するほど美しい星たちが輝いていた。
(これが魔法…)
魔法は何度か見たことがあったがどれも攻撃や兵器として作られた野蛮なものばかりだった。
そのため、こんな使い方もあるのかと丸い瞳をなんども瞬かせる。
ここにいると病に苦しむ家族のことを忘れてしまいそうになる、
それほどの感動と興味がこの館に詰まっていたのだった。
「ステラ様、シヴァリエ様がお呼びでございます」
客室の夜空にうっとりしていた所で、使用人が扉を上品な音でノックした
返事をしてから部屋を出て魔道士の部屋を訪れた私は丁寧に今宵の歓迎に対し感謝する。
それを嬉しそうに微笑む魔道士は私を窓際のティーテーブルへ誘導した。
「魔法というのはこんな使い方もあるのですね…とても感動いたしました」
「それはよかった、気に入ったのならずっとここに住むといい」
目を輝かせる私に暖かいレモンティーを差し出してくれた。
それは飲む前からとてもいい香りがして、ほっとする。
「魔道士様も、ご冗談を仰るのですね」
「いいや、僕はあまり冗談はすきじゃない。君がここにいてくれたら魔法を使うのも楽しくなりそうだと思っただけだよ」
この顔立ちに微笑みかけられて頬が熱くならない女性などいるのだろうか。
お世辞だとわかっているのに脈が早くなってしまう。