ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第4章 クレリア・ラーナー
「外に出てみなよ」
ベリンダに促されて外に出てみる
するとまわりを一望できるとても見晴らしがよい風景が広がっていた
周りは雑居ビルが並び、いくつか高いビルはあるものの、ほとんどは眼下にある
コロニーらしく天を仰ぐと真上の雲の向こう側にも街が見えるが雲で霞んでハッキリ見えない
円筒シリンダー型コロニーのもっと奥の方はあきらかにビル群とは異なる壁が立ちはだかっている
「向こうは何なんです?」
「あっちは連邦軍の演習場だよ、ホントはコロニー全域を使うはずだったんだろうけどさ、
わたしら行くところが無い人間がまだわんさか残っているからねぇ
まぁ、基地があるおかげでお仕事いただいてるのはわかってるんだけど、もともとはわたしらの居場所だからね
私もシモーネもお隣のロンデニオンが出身なんだよ、ハイスクール出てからこっちに出てきたんだけどさ、すぐに退去命令が出てしまってさぁ、実家ももう無いし戻れる場所もないんだよ
軍の基地がなくなるまではわたしらもここを離れないだろうね」
フィルは遠くに見える巨大な壁を眺めながら
「今日はシモンズさんは向こうで仕事かな?」
と思いを馳せていると何度もあくびが出て止まらなかった
「なんだい、寝不足かい?
司祭さんと何にも無かったなんてウソだろ?
若いふたりが一緒に暮らし始めて何にも無いわけないわよね」
「ち、違いますよ!環境にまだ慣れてなくてよく眠れなかっただけです!!」
「ちょっと横になってたらいいよ、わたしはちょっと昼の仕事のほう覗いてくるから
2時間くらいで戻るから、それまでゆっくり休んでなさい」
ベリンダはそう言って上着を羽織って出て行ってしまった
“みんな他人に部屋を任せて不用心だな”
フィルはベッドに横になる
シンプルな部屋のわりにベッドは大きめでスプリングもとても良かった
昨夜のテーブルの上とは大きな違いだ
“でも、ここでシモンズさんと愛し合ってたんじゃないの?”て思うと微妙な気分になった
ふたりとも顔見知りなだけに気まずい妄想をしてしまう
つまらない想像をしているうち、いつしかフィルは眠ってしまっていた……
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