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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第4章 クレリア・ラーナー


フィルはスプリングが効いた高級なベッドの上ですっかり熟睡してしまった


どれだけ経ったかわからない

でもアタマはスッキリした


知らない部屋で少し焦ったが、すぐにベリンダの部屋だったと思い出す


なんだか自分の脇の下からもう一本腕が伸びているような気がする


いや、もう一本生えてる


「うわぁぁぁッッ!?」


思わず声が出ると耳元から女の声がささやく


「……なによ? うるさいわねぇ」


「えっ?」


フィルが振り返ると背中からベリンダが抱きついてきていた


「ちょ、ちょっと!? え! 待って?」


フィルの視線の先には上半身裸のベリンダが毛布にくるまって寝そべっている姿だった


「何を焦ってんのよ?女の子みたいにさ
 何にもしちゃいないわよ、寝てる子どもに手を出すほど飢えちゃいないわ
 オトコの相手をする仕事してんだから

 戻ってきたらすっかり熟睡してるから、私も眠たくなったのよ
 悪い?だってこれは私のベッドだもの!」


「し、失礼しました! か、帰ります!」


「あら、そお?1日相手してくれるかと思ったのに、残念だわ
 司祭さんによろしくね」


ベリンダはそう言うとくるりと寝返りをうって再び寝入ってしまった


フィルは小声で「ごちそうさまでした…」とだけ言うと慌てて通りに出る


どれだけ時間が経ったんだろう?


街は電気が戻り、活気に満ちていた


外に出ていても仕方がない

教会に戻ろうとしたとき、作業服姿の女性がフィルを見つめていた


「?」


誰だろう、とフィルも思い出そうとするが作業服姿の顔見知りは居ないし、と考え込んでいた


“んん?宇宙港で荷物を預けてもらったときの受付の女の人だろうか?
 いや、作業服じゃなかったな

 宇宙港? あれ、もしかしてシモンズさんと宇宙港に行ったときに声をかけてきた人だ!?

 たしかトーマスさんのお相手さんとか言ってたな?”


フィルがペコリと頭を下げると向こうも手を振ってくれた


「こんにちは、シモンズ隊長さんとご一緒されてた方てすよね?カレシさんでした?」


「いや、あれはシモンズさんが勝手に…、
 ボクはフィリップ・バートンです
 お仕事の途中ですか?」


見た目20歳ぐらいに見える若い女性だが、昨日は子どもが居ると言ってたことが信じられなかった




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